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2007年3月 5日 (月)

◆ガラス工房解説 7 【Orrefors】

Orrefors

1898年、スウェーデン南部スモーランド地方、バルト海に面した港町カルマル近郊に設立。オレフェスとは、スウェーデン語で川を意味する「fors」と近隣の湖名の合成語である。歴史を遡ると1726年に創業した鉄工所が前身で、この地域は精製用の清水と薪となる木材に恵まれていたため、古くから鋼業所やガラス工場が集積していた。現在でもオレフェス以外にコスタ.ボダ、ベリダーラなど15ものガラス工房が集まり、ガラス王国の感を様している。
鉄工所の経営難からガラス工場に転身したオレフェスは、当初窓ガラス、瓶、インクボトルなどの日常品を生産していたが、アール .ヌーヴォー期にカメオ彫刻を施したガレ様式の作品を制作、工芸ガラス分野への先鞭をつける。

1913年には新所有者ジョアン.エィクマンとアルバート.アーリン工房責任者のもと「オレフェス・ガラス工場」と名を変え、翌年からはクリスタルガラスの生産に着手、また優秀な職人の招聘や労働環境の向上に取り組むなど、芸術と産業の両立を目指した展開期に入る。
そしてこの時期、オレフェス社の命運を担う二つの才能が招かれることになる。一人は 1916年に入社したサイモン.ガーテ、もう一人は翌年からデザイナーとなったエドワルド.ハルドである。両者共に大学では絵画、建築を専攻しておりガラス工芸とは無縁で、当時としては異例の抜擢であった。だが彼らの手により「グラール技法」「エアリエル技法」というオレフェス社独自の新技法が考案され、カッティングした有色ガラスの製作が本格的に始められる。
オレフェスはアールデコ期にコスタ社と共に北欧のガラス産業を率引、アール .ヌーヴォーとアール.デコを折衷した手法の作品や、アール.デコ調の照明器具の製作を活発に行う。この時期の作品は、従来のアール.デコ様式より穏やかな色彩や曲線を持ち、優雅な情緒性を醸し出すものが多い。透明素地に人物画などをデザインし、繊細なグラヴィールを施す作品も特徴的である。スカンディナヴィア.ファンクショナリズム(感覚的機能主義)とも呼ばれる彼らの様式は、1917年のノルウェーでの展示会で各国の注目を浴び、1925年の現在装飾美術産業美術国際博覧会ではグランプリを受賞するまでに至る。

こうして北欧の一地方ガラス工場から世界的な知名度を得たオレフェスだが、その革新性は留まるところを知らない。第二次大戦を挟んで、ヴィッケ .リンドストランド、エドウィン.エールストレム、ウルリーカ.ヒュードマン=ヴァリエンといった現代ガラス作家の旗手とデザイナー契約を結び、次々に優れた工芸ガラス作品を生産していく。専任の芸術家によるデザインと、熟練した職人の完全な分業システムは、オランダのレールダム、フィンランドのイッタラと並び時代の先取りをし、現在も約10人の精鋭専属デザイナーを擁している。
また企業としても、 1946年にスウェーデンのもうひとつの雄、コスダ.ボダを傘下に加え(その後可度か離散集合を繰り返す)、更には1997年秋にはデンマークのロイヤル.コペンハーゲンら5社で合併、ロイヤルスカンジナビアグループを設立する。

北欧独特の機能性と合理性を共存させた、シンプルでモダンなデザインは近年ガラス産業の新勢力として世界中で人気を博している。その中でもオレフェスはスカンジナヴィアを代表するガラス工場で、常にリ一ダー的な存在である。またデザインだけでなく優れた品質も、グナ . シレーンのテーブルウェア「ノーベル」が実際にノーベル賞の受賞晩餐会で使用されていることからも折り紙つきである。

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