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2007年3月 5日 (月)

◆ガラス工房解説 8 【Warterford】

Warterford

1783年、アイルランド南部の港町ウォーターフォードにて創立。地元の有力者、ジョージとウィリアムのペンローズ兄弟が、イングランドのガラス職人ジョン・ヒルを迎えて鉛クリスタルガラス工房を造ったのが始まりだった。イングランドでは1671年に発明された鉛クリスタルガラスにより、1720年頃からカットガラスが生産されはじめた。18世紀半ばにはカットガラスを中心にイングランドのガラス産業は進展をみせる。しかし、1777年に政府がガラスの重量加算税を制定した為、多くのガラス職人が国外へ流出した。ウォーターフォードはそれら職人の受け入れ先の一つであり、アイリッシュ.ガラスの歴史もこの時代から本格的に始まった。

当初は職人 70人程度の創業だったウォーターフォードは、テーブルウェアやシャンデリア中心に生産する。特徴である鋭角に磨がれたカッティングなどの装飾技術は高品質を誇り、19世紀前半にはイングランド王ジョージ三世からの別注を賜るなど名声を博す。また、スペインやアメリカなどへの輸出も活発に行われた。
ところが1825年に宗主国イングランドの圧力により、アイルランドの優遇税制が撤廃され、物品税の導入もなされる。これにはアイルランド産業自体が大打撃を受け、19世紀半ばには僅かを残して壊滅してしまう。ウォーターフォードも例外ではなく、無類の評判を得たにも関わらず僅か百年足らずで休業状態に追い込まれ、復活するまでにもう百年を待たなくてはならなかった。
第二次大戦後、アイルランドの独立と共にウォーターフォードも復活を果たす。以前の工場の僅か 800m隣の場所に新工場を設立しガラス製造を再開。以後テーブルウェア、シャンデリア、コンポートを中心に製作する。また近年においては、1986年にウェッジウッド社と合併、ウォーターフォード・ウェッジウッド社を設立しダブリンに本部をおく。その後ローゼンタールなども吸収、伝統と歴史の結合した高級ライフスタイル・グループ形成する。

ウォーターフォードのガラスは現在でもクラフトマンシップに溢れており、製作の工程は 200年前とあまり変わっていないとも形容される。特にカッティング技法は同杜の伝統ともいえ、鉛クリスタルの特性を良く生かしたものである。その中でも「アラーナ」に代表されるストロベリーダイヤモンドカット文様は、深い角度で繊細に掘り込まれており、高度にグラインダーを使いこなす技術が要求される。これら重厚繊細なカットに加え、クリスタル素地も鉛の含有量が30%を超える「レッド.クリスタル」を使用、透明度、輝度、重量感共に優れ、世界最高級クリスタルの源となっている。

今日においてウォーターフォードは、欧米での認知度が非常に高く、テニスやゴルフなどの世界的な大会のトロフィーに同社のグラスが使用されている。特にアメリカで圧倒的な人気を誇っており、 2004 年で販売 50 周年となった銘品「リズモア」を筆頭としたテーブルウェアは毎年のように人気リストで首位を占める。その他にもシャンデリア、オブジェ、コンポートなども高い支持を得ており、同社のコンポートが、アメリカ大統領の就任祝いにアイルランド政府から送られるのは事に有名である。
現在アイルランドのウォーターフォード郡では三つの工場が稼動、またグループ内の協力や共同開発により、中国磁器、銀製品、リネンなども新機軸として展開している。

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